2008年6月29日日曜日

薬害肝炎説明会(山口市)

弁護士会主催の特定C型肝炎救済法適用説明会のお手伝いに行ってきました。
説明会にきてくださった方は約40人。

九州肝炎弁護団の後藤景子弁護士から救済法の説明。その後,個別相談会。

救済法の適用を受けるには,裁判手続が必要になります。
対象となる製剤も限定されており,血液製剤投与と肝炎発症との間の因果関係の立証も必要です。

とにかく,カルテやそのほかの資料があるのか。

カルテの保存義務期間は5年です。
問題となる製剤の投与は昭和39年から30年間にわたります。カルテ破棄,紛失,毀損は当たり前です。

証拠資料さえあれば,対象者と認定されるのに。

救済法の対象となる製剤とは異なる薬を投与された方もいました。
その薬も薬害の可能性があるかもしれませんが,いまはまだ救済法の対象ではありません。
国と肝炎弁護団の協議をお待ちいただくしかありません。

肝炎から肝硬変に進行した方。さらに悪化した方。
待つことなどできないでしょうに,「お待ちください」というしかありません。

救済法がどれだけ対象を絞りこんでいるのかよくわかりました。
ご相談をお聞きしながら,国と弁護団とのぎりぎりの和解交渉のニュースを何度も思い出しました。

それでも,患者さんが自ら遠慮されて名乗りをあげていないのではと感じるところもありました。
可能性がないのにこんな説明会まできてしまって,申し訳ないという雰囲気の方もいらっしゃいました。

可能性があるかないかは,お話をお聞きしないとわかりません。
とにかく,ご相談にいらしてほしい。

弁護士会は対策本部を設置し,対象者と思われる方を見つける作業を担当し,その後は,有志からなる弁護団に引き継ぎます。
わたしは,そのうちの対策本部をお手伝いしているのでした。

次は,薬害肝炎110番が行われます。
7月5日(土)午前10時から午後5時まで
083-920-8730(相談担当弁護士が無料で相談をお受けします)
http://www.yamaguchikenben.or.jp/kanen.html

2008年6月28日土曜日

法廷弁護技術研修

山口地裁(本庁)の裁判員裁判対応法廷で法廷弁護の技術を研修。

いかに説得的に,いかに効果的に,裁判員に語るか。
技術を磨かないと,裁判員の方々にわかりやすく,弁護側の主張のポイントを伝えられません。

しかし,ペリー・メイスンには,なれない。
難しいです。苦手感をぬぐえません。照れがどうしても残る。

私情100%ですが,裁判員裁判の実施を延期してもらいたいです。

キャッチコピー



女性の権利110番の電話番をするため,山口県弁護士会館へ行きました。
最近,山口市へ行く回数が多く,ちょっとバテぎみなので車ではなく電車で。

山口駅から会館に歩いていく途中,ふと気が付いたのがこの看板。

「杭を残して悔いを残さず」

なるほど…

だじゃれなのに思わずうなずいてしまいました。

2008年6月25日水曜日

天才の夭逝

今月は,氷室冴子先生が亡くなられたとの報せに大きくショックを受けています。
「銀の海 金の大地」の新作が刊行されなくなってから約10年。
どうにも待ちきれず,出版関係の友人の人脈で調べてもらおうと思った矢先の訃報でした。

少女小説で人気
一世を風靡

などのタイトルがつけられ,訃報は比較的大きめの記事となりました。
しかし,これらのタイトルにはぴんときません
氷室先生の作品のカテゴライズの設定が狭すぎます。
作品をまったく読んでいない記者がお書きになったのでしょう。

たくさんの女たち男たちを描いた氷室先生。
どの人々も魅力がありました。

瑠璃姫のようにがむしゃらに動き,
北里マドンナの麻生野枝のように自分の視点を持ち,
銀の海金の大地の佐保彦のように自分のコンプレックスとたたかい,
いつかは蕨が丘の小梅ばあさんのような楽しい老後にたどりつきたい。

幼い頃から,どれだけ,その作品世界に育てられてきたことか。
氷室先生が作り上げた人物は,生活や人生の折り目ごとに自分の中によみがえります。

氷室先生が,小梅ばあさんの舞踏会の手帖よろしく,
昔の知己を訪ねるエッセイをぜひとも読みたかったです。

2008年6月23日月曜日

模擬裁判本番

6月17日~18日に模擬裁判を行いました。
弁護人役を体験した感想です。

 裁判員制度:「真剣審理、体力も必要」 会社員ら模擬裁判--山口地裁 /山口
この藤沢記者の記事にもあるように,体力なくして裁判員裁判はのりきれないことがよくわかりました。
2日間だけとはいえ,全神経はりつめて,次の日は頭がぼおっとしてしまいました。

裁判員役の方にできるだけわかりやすく弁護人の主張を伝えたい。
その方法を模索するのが今回の模擬裁判における課題でした。

検察官と弁護人が,それぞれの主張する本件事件のストーリーを述べる「冒頭陳述」手続。
この手続で裁判官と裁判員は,検察官と弁護人がどんな事実を立証しようとしているのかを知ることになります。

今回はパワーポイントなども使ってみました。
裁判官・裁判員のお手元に説明資料も配ってみました。

それなりに準備したはずの模擬裁判の結果は…,あんなにマスコミの方がきていたのに,よくぞあれほど失敗をしてしまったことよと苦笑せざるをえません。
でも,得るところはたくさんありました。

そのうちの一つ。
パワーポイントは,そのアニメーション的機能ゆえに,「妙に派手でいやだ」という印象を持っている弁護士さんも多いようですが,アニメーションよりも重要な機能があることに気がつきました。

それは,一番核となる事実,要点となる情報を弁護人が考える訓練になるということです。

パワーポイントでは,裁判員の座っている位置から見えやすい文字の大きさは32ポイント以上です。
これに加えて,見やすい配置をすると,文字数はかなり限られてきます。

 この限られた画面を使って,裁判員に伝えたいことを書くとすればどんな言葉を選ぶか。

一番核となる事実を探りあてることになります。
要点を考える訓練になるのです。

ということに,もっと早く気が付けばよかった。
ぎりぎりの日程でパワポをいじっているうちにふと気が付いたところもありましたが,見通しが甘くて,本番までに間に合いませんでした。
まあ,パワポをいじってる段階で,事件の中核を探り当てようとすること自体,遅すぎる。
一夜漬けは無理でした(あたりまえ)。

本来なら,公判前整理手続中に,どの事実と証拠を中核におくのか決めないといけない。
そして,裁判の日を先取りして
パワポでうつしだすとしたらどの言葉を前面に押し出すのか,
証人尋問や被告人質問ででどんな言葉をひきだしたいのか,どの証拠のどの箇所を使うのか。
全部決めないといけない。

そこまで準備しておかないと,裁判員にわかりやすく説明ができない。
プレゼンも作れない。

そういうことを痛感した模擬裁判でした。
ヒントをあちこちからいただいていたのですが,結局,体験してみないとよくわかりませんでした。

まだまだ書きたいことはありますが,またそのうちに。

・おまけ・
パワーポイントはシンプルな機能だけの使用にとどめるなら,5分講座で初心者でも覚えられます。
一緒に弁護人を担当したI先生と5分だけの講座(弁護士向け)を開講したいぐらいです。

2008年6月15日日曜日

裁判員裁判の模擬裁判

裁判員裁判の模擬裁判が山口地方裁判所(本庁,山口市)で次のとおり行われます。

平成20年6月17日~18日 山口地方裁判所(本庁)
〔事件名〕殺人被告事件
〔予定〕
 第1日目(17日) 10:00-17:00 冒頭手続,証人尋問,被告人質問
 第2日目(18日) 10:00-17:00 論告求刑,最終弁論,評議,判決


これの弁護人役を担当することになり,今月はほとんどの土日をつぶして,書面を書いています。

亡くなった被害男性から殺されそうになって,思わず被告人女性が刺してしまった,正当防衛だという主張です。
背景にはDV。
いわゆる山本純子事件と呼ばれ,全国で模擬裁判が行われているようで,この模擬裁判の実施は山口で最後のようです。おそらく。

いままで担当した模擬裁判は,シナリオがあったのに,今度は,本当の事件に近いぐらいの準備時間が必要です。司法修習以来です,これだけ本格的な模擬裁判は。

裁判員にわかりやすく示すための資料をどう作るかで,頭悩ませています。
法律用語をどうやってかみくだくかが,かなり難しいです。

とくに正当防衛を法的に説明する,しかも,わかりやすく…というのが大変です。
それを本件のケースにあてはめて説明する場面がとくに。

公判前整理手続を模した事前勉強会が開かれ,裁判所や検察庁の考え方がわかり大変勉強になりましたが,そのために山口市までおもむく負担が,とてもきつかったです。
弁護士会の中でのうちあわせや勉強会ではテレビ会議システムを使って山口市に行かずにすんでいるので,法曹三者での協議会や勉強会においても,こういうシステムがあれば助かります。
移動時間や準備作業時間で失われた仕事時間を回復するため,この2か月,睡眠時間が不足気味です…。

2008年6月11日水曜日

取調べ可視化 ビラ配り&署名活動

取調べを録音・録画を求める「取調べ可視化」運動
ビラ配りと署名活動を終えました。

雨と風の勢いが強く,寒い夕方でした。
こんなに天候が悪いのに,

 ビラを受け取ってくださった方々,
 署名してくださった方々(約40名),
 説明を聞いてくださった方々,

ありがとうございました。

署名活動をはじめてしたので,その難しさを痛感しましたが
高校生の方々が一生懸命話を聞いてくれて,署名を積極的にしてくれたり
いきなり走って「署名しますから」といってくださった女性の方がいらしたり
知り合いの方が「あら大変ですね」と署名してくださったり。
はげまされました。

朝日新聞と毎日新聞の記者の方も取材をしにきてくれました。
寒い中,約1時間も見ていてくださいました。ありがとうございました。

どちらも12日の地方版の記事になりました。
ネットでは毎日新聞の記事が読めます。

取り調べ可視化:録画、録音を 県弁護士会がシーモールで街宣 /山口
毎日新聞 2008年6月12日 地方版〔下関版〕
http://mainichi.jp/area/yamaguchi/news/20080612ddlk35040555000c.html

2008年6月9日月曜日

道路占用許可

日弁連が被疑者取調べの全過程を録画するように刑事訴訟法を改正しようという運動をしています(取調べ可視化)。
→ 日弁連の取調べ可視化ページ

そのために取調べ可視化を求めるビラ配り&署名活動といった街宣活動を全国各地で行っています。
下関でも11日にシーモール前あたりで17時から行います。

準備は刑事弁護センターの板淵委員長が着々としてくださっているのですが,
一応,わたしも県弁の下関地区会の幹事(地区会長のもとで事務をする係)をつとめているので,少々,お手伝いしています。

街宣活動をした経験がないので,ノウハウがさっぱりわかりません。

地区会から,タスキや署名活動用の画板,腕章,拡声器などを預かりました。
こんなものが地区会に保管されていたのかと驚きながら準備をしています。

ビラ配りや署名活動をするのに道路占用許可がいるのだと教えられ,今日は,下関警察署に申請をしにいく板淵先生の後ろについていき,また,各方面にご挨拶にいったりもしました。

いい経験になります。