2012年12月28日金曜日

年末年始のお知らせ


鈴木法律事務所は、
平成24年12月28日~平成24年1月6日まで年末年始のお休みとさせていただいております。

仕事始めは1月7日からとなります。


今年もお世話になりました。

労働時間の記録

長時間労働で身体や心を害したりする方の労災請求や正確な残業代計算のために、記録をつけているといいのだけれどと思うことがたびたびあります。

タイムカードなど、毎月の労働時間を従業員も確認できるようになっているのが一番ですが、それがない場合の記録法としては、例えば


  • 手帳やカレンダーにメモをする
  • 携帯メールで家族に帰宅時間をお知らせする
  • 自分用の勤怠管理アプリ(例えば「Litelog free」や「タイムカード」など)を使う
  • 帰宅直前にコンビニによって領収証をとっておく(感熱紙なので、たまったところでまとめてコピー)
  • SuicaやSuica定期などのICカードの使用履歴をこまめに印字しておく。
こんなこまめなことができるなら、気がつくと長時間働いているということは生じないのかもしれませんが、予防にはなるかもしれません。


なお、法律上は労働基準法で、労働時間や休日・深夜業について規定が設けられているので、使用者が労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務を有しています。

しかし、現状は、自己申告制で、しかも過少申告を強いられがちなので、時間外や休日の割増賃金の未払や過重な長時間労働(過労)があとをたちません。

厚生労働省は
  1. 労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を使用者が確認し、これを記録すべきであること
  2. 記録方法は、使用者が自ら現認により確認・記録すること、タイムカード・ICカードなど客観的な記録をつけること
などを実施するよう通達を出しています。






2012年12月12日水曜日

面会交流の場所(下関近辺)

「最近、更新していませんね。」
と、あちこちから声をかけていただきました。
読んでいただいてありがとうございます。

別居・離婚した両親の間のお子さんが、一緒に暮らしていない親御さんと会うのを
「面会交流」といいますが、

さて、その場所や方法が問題。
町を歩くたびに外出で面会交流に使えそうな場所はないかときょろきょろしています。

同居親も同行するのか、雨天決行可能なのか、騒いでも大丈夫な場所かなど。
いろんな場面・条件があるので、ネタをストックしておきたいと思っています。
こんな場所もあるよという情報提供がありましたら、お教えください。

○遊ぶ

■児童館
・ひかり童夢
・北九州市立子育てふれあい交流プラザ

■水族館・博物館
・海響館(水族館)
・九州鉄道記念館(門司港)
・下関考古館

■遊園地
・リフレッシュパーク豊浦
・スペースワールド(北九州市)

■乗り物
・火の山ロープウェー(季節に注意)
・門司港レトロ観光列車
・接岸して内部見学可能な大型船(護衛艦や大型帆船など)

■映画館
・シアターゼロ
・チャチャタウン(北九州市)
・T・ジョイリバーウォーク北九州

○お食事など

■大型ショッピングセンター
・シーモール
・ゆめシティ

■ファミリーレストラン


○公園・アウトドアなどは次のサイトが詳しいです。
下関市子育てガイド(2011)
http://www.city.shimonoseki.yamaguchi.jp/child/2011/2-10parkmap.html

2012年8月12日日曜日

お盆休みのお知らせ

鈴木法律事務所では,
8月13日(月)~17日(金)までお盆休みをいただいております。

その間のご連絡に対する折り返しは,20日(月)以降になります。
よろしくお願いします。

2012年7月13日金曜日

ダイヤモンド誌でのLGBT特集

週刊ダイヤモンド誌でLGBT特集記事が組まれています。

http://diamond.jp/category/s-lgbt


LGBTとは,レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダーの略です。
セクシャルマイノリテイを意味します。

私自身はどうやらLGBTではないのですが,仲良くなる友人たちの中に,LGBTの人が何人かいたという偶然が重なり,意識的に情報を集めたり,勉強会に参加したりしています。

法律上の同性婚が認められていない日本において,カップルとしての社会的取り扱いをどのように確保していくかという議論(法的効果であれば養子縁組,公正証書遺言などの工夫)を考えるのは,別姓結婚選択者の社会における取り扱いを考えることとも重なってくるので,LGBTについて考えるのはおもしろいという興味もあります。


今回のダイヤモンド誌での特集記事のための座談会では,「米国のあるLGBT専門のコンサルティング会社のレポートでは、「LGBTフレンドリーの会社にはお金が集まる」とされています。」というインタビュアーの経済的側面からの質問がありました。

ソフトバンクでは同性カップルに対してもカップル割引プランを提供しているとの例が挙げられていました(第2回・座談会(下)p.3)

気になったのは,LGBTへの理解を深めるには,「絵本読み聞かせ段階から多様性教育の工夫が必要」(第2回・p.4)との指摘です。


ここで思いだしたのは,子どもの頃に

「ジェンダー格差をなくすためには,男の子ばかりが冒険に出るような童話や児童文学を読ませるべきではない」

という発想から生まれた「アリーテ姫の冒険」という本を読んだことです。


アリーテ姫が,男性とは違う発想で冒険の旅に出て行くという話なんですけども,

ジェンダー教育の下心みえみえで,正直おもしろくなかったという記憶が。

「ベルサイユのばら」や「BASARA」,「天は赤い河のほとり」など,政治に挑む女子のマンガを楽しんでいればいいんじゃないのかしらねーなどと思ったものです。


同様に,LGBTについても読んでれば自然に理解が深まる作品が増えていけばいいなと思う次第です。

たとえば,羅川真里茂「ニューヨーク・ニューヨーク」とか,遠藤淑子「グッナイ・ハニー」(「ハネムーンは西海岸へ」所収)などがいいかも。

・・と思うのだけども,LGBTの友人たちがこれらの作品でしっくりくるかどうかはまだよくわかっていません。

可視化グッズ

今月初めの7月1日,アムネスティ山口グループにお招きいただいて,取調べの可視化についての講演を行いました。

http://www.saporant.jp/e-lib/109_3.html

日弁連からいろいろグッズが送られてきました。




可視化クリアフォルダ





可視化うちわ




(いずれも画像の著作権は日弁連です)

個人的には,暑い日だったので,うちわが助かりました。

クリアフォルダは,紙をはさんでいると「私がやりました」,はさんでないと「私の叫びが無理やりねじ曲げられました」と表示される一品です。

ムンクの叫びのパロディですね。一目瞭然か。

2012年7月2日月曜日

面会交流とIT・・

面会交流事件を見ていて、ふと思うのは、

PCやiPhone・携帯を使って、写真や動画をクラウド上で、指定した人物だけが共有する方法で、写真・動画の交換による面会交流ができればいいのに。。

ということです。


本当は、面会交流困難事案をどうにかできないものかと考えているときに思いついたのですが、
面会交流が容易にできるタイプの親子の方々で、遠距離のために頻繁に面会できないという方々から試してもいいかもしれません。

近くに住んでいるけれど、電話するにも時間がすれ違うという親子さんでもいいかも。

そういう面会交流目的でのSNSがあってもいいかもしれません。


まだ思いつき段階です。

2012年6月20日水曜日

携帯電話のメール画面の撮影方法

携帯電話のメール画面を撮影したいというご相談や,撮影してきたので見てほしいというご相談がたびたびございます。

携帯電話メールを証拠化するにあたっては,当事務所にお持ちいただいて撮影しておりますが,ご自分で撮影する場合の注意事項です。

1 メールは一番最初から最後まで撮影してください。

2 携帯電話の機体ごと画面を撮影してください。

3 文章がスクロールしないと読み切れない長さのときは,一番下の行を一番上までスクロールして,次に出てくる文章を撮影してください。そして,文末がでてくるまでこれを繰り返してください。一番下の行を一番上までスクロールするのはその前に撮影したメール画面のつづきであることがわかるようにするためです。


撮影例のイラストもアップしておきます。

メール画面の撮影方法
メール画面の撮影方法

2012年5月22日火曜日

山口市のパン屋

山口市に出張にいったとき、時間があれば寄って帰るパン屋があります。

晴香 自然パン工房
http://r.tabelog.com/yamaguchi/A3501/A350101/35002261/


ここのドイツパンはぎっしりつまっていておいしいです。
スモークチキンとオリーブのサンドイッチなども売ってます。

小野茶をつかって、かぼちゃの種をいったものをあしらった、小野茶パンもおいしかったです。
カンパーニュや食パン、ラスクもよいです。
ご主人がまじめにきっちりと作り、奥様がにこにこと販売するお店で、いついっても明るい気分になるお店です。

土日はモーニングサービスもしています。

山口県山口市大内長野1488番地
083-927-8868

2012年5月19日土曜日

裁判所の面会交流DVD、動画配信

以前、裁判所が作った面会交流DVDの話を書きましたが今年の3月からネット上で動画配信されていると聞いて、検索してみました。


ビデオ「離婚をめぐる争いから子どもを守るために」

・子どもの予定を大切にする
・のびのびと過ごせる
・いいかげんな約束をしない
・行きすぎたプレゼントをしない
・子どものことづけをしない
・相手の様子をしつこく聞かない
・笑顔で送り出し、笑顔で迎える
・会いたくない理由をよく聞く

というテーマごとに1分30秒~2分ほどの動画にきりわけていました。


画像も大きく、見やすかったです。


それはいいんだけど…

どうして新着情報に載せないのですか!!

右端の目次用の茶色バーにそっと「動画配信」バーが加わっていますけど、殆どの国民は気がつくわけない!!

裁判所にメールで提案してみようかと思いましたが、裁判所のサイトって、メールでのご意見を受け付けていないようです。
メール処理は大変だからでしょうけども。

しかし、最高裁事務総局広報課に電話するのはめんどうくさい。。書面の〆切をこなしたらかけてみようかな。。

2012年5月17日木曜日

法テラスからのアンケート

法テラスから犯罪被害者の付添人等活動を受任したことのある弁護士対象のアンケートがきました。

目的は、臨床心理士等の付添人は犯罪被害者の方の事件を受任するにあたって必要か・費用はどの程度が適切か。
ということを調べるためのようです。

話せない方、話すたびに苦しまれる方がおられますから、
前々から、臨床心理士さんに付き添ってもらうときは弁護士が身銭を切ることもありました。
調査してくれるのはうれしい。
そして、制度化してほしい。

犯罪被害者支援団体の方にも付添費用援助が出るのだろうか。

2012年4月11日水曜日

金子みすゞさんと旧民法

下関駅のホームには、金子みすゞの詩が飾られています。
駅だけでなく、唐戸商店街や街中いたるところに詩であふれています。
下関駅と仙崎駅との間には、観光列車のみすゞ列車も走り、長門市仙崎には金子みすゞ記念館もあります。

感受性の豊かな方だなと詩を読むごとに感じます。

しかし、詩を読んで楽しむだけに終わらないのが弁護士脳。
みすゞさんの詩やお写真を見ると、「監護権」の3文字が浮かんできてしまいます。

というのも、伝記を読むと、当時別居していた夫に対し、離婚しても娘を手元で育てたいと伝えていたのに、夫が親権ゆえの監護権を主張し引き取りにいくと言われて、抵抗のために自殺をされたとのこと。
仙崎の記念館にも、この話が紹介されています。


旧民法では、そもそも婚姻中の親権者は父親であって、父親の単独親権です(民法877条1項本文)。母親にはありません。
だから、離婚したときの子どもの親権は父親となるのが基本です。

戦後の新民法で、父親と母親の共同親権を定め(民法818条1項)、離婚の際に父親と母親のどちらか一方を親権者に定めるということで母親が離婚後の親権をとることができうる(民法819条1項)のは、現在の憲法24条両性の平等の思想のおかげです。


旧民法の812条1項には「協議上ノ離婚ヲ為シタル者カ其協議ヲ以テ子ノ監護ヲ為スヘキ者ヲ定メサリシトキハ其監護ハ父ニ属ス」とあります。

これを、新民法766条1項「父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者その他監護について必要な事項は、その協議で定める。協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。」と比較すると、一目瞭然です。


旧民法では、親権は父親にあることを前提に、協議離婚をするときに子どもの監護権者(育てる人)について話し合いで決まらなければ、父親が監護権者になるということなのです。

話し合いなどできようのない夫婦関係だったら、自動的に父親が育てる人になってしまうという制度であり、実際は、父方の祖母や伯叔母、または父の次の妻である継母が育児作業を負担していたのでしょう。


いまや、新民法の時代になって70年にもなろうとし、イクメンも当たり前になってきた時代からみると隔世の感があります。


2012年4月6日金曜日

インターネット・携帯電話での消費者詐欺

インターネット・携帯電話を利用した詐欺の手口は、

1 「無料」「お金がもらえる」「新品なのに安く買える」といった誘い文句で

2 そのサイト(パソコンであれ、携帯であれ)の利用料を払わせる

3 繰り返し、利用料を払わせるように「サクラ」や「BOT」(不正プログラム)が仕込まれている


という特徴があります。



○偽出会い系サイト
サクラをつかって利用料をどんどん払わせる
サクラとサイト内のシステムでメールのやりとりをするように仕向け、メールをするにはサイトのポイントを予め購入し、送信受信ごとにポイントがへるので、相手(じつはサクラ)とメールをしたいと思うと、お金を多額に使うことになるなど。


○有料メール交換サイト
偽出会い系サイトの応用編で、「会いたい」「悩みを聞いて欲しい」「お金をあげる」という言葉で誘って、後はいつ会えるか、誰と会うかという日程調整の連絡だけでひっぱってひっぱって、いつのまにか多額のポイントを購入し、意味のないメールをやりとりするなど。


○偽ペニーオークションサイト
新品の家電などを安く落札できるという形式のオークションサイトの中に、入札手数料を入札者に払わせる中、裏に「BOT」という不正プログラムが仕込まれていて、入札価格が自動的につり上げられ、無駄に入札手数料を支払わせた挙げ句、結局安く落札できないという被害を与えるサイトです。


特定商取引法ではまだ立法が間に合っておらず、今起きている問題に対応するとすれば、民法(詐欺・錯誤)・消費者契約法4条取消権で戦うことになります(参考・下記日弁連意見書)。
証拠の確保についても、サクラ等とやりとりしたメールがサイト内にしかないので、時間が経過したり利用を終えていると、消去されている又はサイトにアクセスできないため閲覧できないため、メールを保存できないなどの問題があります。



(参考)
・日弁連
「インターネットを用いた商取引における広告の適正化を求める意見書」(平成24年2月17日)
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2012/120217_2.html

・国民生活センター
インターネットトラブル
http://www.kokusen.go.jp/topics/internet.html

「悪質な「有料メール交換サイト」にご注意!-「会いたい」「悩みを聞いて」「お金をあげる」というメールを安易に信用しないで!-[2010年9月1日:公表]
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20100901_4.html

悪質“出会い系サイト”における高額請求の被害-収入が得られると誘導されたサイトでメール交換- [2011年12月1日:公表]
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20111201_3.html

交通事故にあったら

交通事故のご相談のことで、前々から考えていたことを。

1 交通事故にあってしまったら、ノートを一冊買っていただきたいです。
日記形式で、メモを書いておくと後から手続をするときに使えます。
訴訟にならなくとも、必要になることがあります。

症状は細かくつけておくといいです。

(記載例 ※もっと細かいほうがいいのですが、必要最低限バージョン)

●年●月●日、事故にあった。県道●号線を時速●km/h程度で走っていたら、側道から普通乗用車が突然飛び出てきて、自分の車の左側面にあたった。
すぐに警察を呼んだ。実況見分をした。

●年●月●日、加害者の保険会社担当者の●●氏が来たので、●●という書類を渡した。

●年●月●日、●●病院へ行った。頭(左側)が痛い。


2 事故にあった直後に、軽いけがだと自己判断せず、できるだけ早く病院へ行き、受診してください。できればCTやMRIを撮影しておくといいです。


3 百円ショップ・文房具屋さんで次の品を仕入れて下さい。

・A4サイズのファイルが入るファイリングアタッシュを5つくらい
ファイリングアタッシュの例→ http://www.sanadaseiko.co.jp/products/news/new_page41.html

・A4サイズの透明クリアファイルを20枚くらい買っておきましょう。
・A4の白い紙
・貼ってもはがせるのり


そして、

・自分が払っておいて後で加害者(保険会社)に請求する領収証を種類毎にクリアファイルにいれ、それごとファイリングアタッシュにいれます。

※(可能ならば)
A4の紙に貼ってもはがせるのりで貼り付けてもいいかもしれません。なお、領収証を重ねないでください。
その紙にいつ、どういう目的で支出したのかメモを残しておくとさらにいいです。

・保険会社から渡された・送られた資料をクリアファイルにいれ、領収証とは別のファイリングアタッシュにいれます。


・保険会社に渡した書類のコピーをまた別のファイリングアタッシュにいれます。



1のノートと、これらの資料があれば、交渉や訴訟のために弁護士に相談するときに、やりやすくなります。






2012年4月5日木曜日

子の監護に関するevaluation

家庭裁判月報平成24年3月第64巻第3号に、「米国家庭裁判所協会(Associtation of Family and Conciliation Courts.通称「AFCC」)が主催する第9回「子の監護に関するevaluation」に関する国際シンポジウムに参加して」(楠本新氏《大阪家裁部総括判事》、西川裕巳氏《最高裁事務総局家庭局第三課課長補佐》)というレポートが掲載されています。


AFCCは、アメリカ・カナダの家庭裁判所に関わる裁判官・弁護士・裁判所職員・サイコロジスト・メンタルヘルス専門職・メディエイター、が中心となって、家族葛藤の解決を通じて家族と子どもの生活改善を目指す協会だそうです。


子の監護のevaluationとは、裁判官が養育計画の決定を行うにあたって、裁判官の命令によって、親子関係や調査を実施するということのようです(注1)
日本では家裁調査官が担っている職務です。
この職務を担うChild Custody Evaluation(CCE)という専門職があることをこのレポートで初めて知りました。

どうも公務員ではなく、裁判所が事件毎に雇ったり、一方当事者が雇ったりしているとあり(p.88)、また、報酬としてevaluatorに支払う費用が高額に過ぎるので米国民の7割以上を占めるといわれる貧困層がevaluationを活用することができないとありますから(p.86)、民間の専門職のようです。

このCCEが作成する報告書を裁判所は信頼性が高いと評価しているとのことで、重要な判断材料とされているようです。

気になったのは、報告者の方々が出席されたワークショップにおいて、DVに対するCCEの評価の問題が指摘されていたことです。

例えば、ミシガン大学ソーシャルワーク専門大学院のダニエル・サンダース博士の発表では、専門職とりわけCCEは、女性がDV被害主張するときには、これを虚偽主張であるなどとして軽視し、DVが子に及ぼす影響を過小評価するおそれがあると警鐘が鳴らされていたとのことです(p.92-94)。

また、ニューヨーク法律扶助グループのクリス・サリバン氏からは、CCEの多くがペアレンティング・プラン(裁判所が決定した子の養育に関する詳細な取り決め)の安全性を予測する上で、過去の父母間の暴力については十分に考慮していないとの指摘がなされていました(p.94)。


アメリカでは、加害親に対しては教育プログラムへの参加を義務づけ、被害者に対しては自分と子どもの安全を確保できるようにサポートし、そのうえで、監督付の面会等で、加害者と子どもとの面会交流が、被害親と子どもにとって安全な状態で実施できるようにしているとのことです(注2)。

しかし、かかる取扱がなされるためには、そもそもDV被害があったことが認められなければなりません。
家庭内の密室でどこまで証拠が残るのか、難しい問題があります。
また、DV被害事実が認められたとしても、「安全な状態で実施」ということについて、CCEが、中立公平の立場とはいえ、当事者の事情を的確に把握してくれないと、新たな危険が生じてしまいます。

CCEの力量によってDV被害者の安全が左右されることになります。


現在、日本では、面会交流の実施、親権制度について、アメリカなどをモデルに制度や運用を変えていこうとしています。

その中において、DV被害(女性であれ、男性であれ)の主張が軽視されないようにという視点は必要です。
かなり細かい配慮を考えて面会交流の実施方法を決めていかないと、専門家による二次被害になりかねません。

「DV被害があっても面会交流を実施する」という制度・運用にするのであれば、相当の人手・時間・費用がかかり、専門家養成も必要になるだろうと思います。だからだめということではなく、制度・運用を変えるにあたって、そこまで考えた制度設計にしていく必要があるという感想でした。



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(注1)親子の面会交流を実現するための制度等に関する調査研究報告書http://www.moj.go.jp/content/000076561.pdf Ⅴ-1 アメリカにおける面会交流支援(原田綾子氏) p.193-P.226 のp.201
(注2)同 p.194

2012年2月14日火曜日

北海道の支部問題

6~7年前、旧友が法律を勉強するというのでお手伝いしたところ、御礼にとHTB「水曜どうでしょう」のDVDをいただきました。
いまや全国的に有名になった大泉洋の出世番組です。

それ以来、サイコロの旅や東日本原付の旅など、無理を押したタイムスケジュールで移動するのを見て楽しんでいたのですが、その中にあったのが、「北海道212市町村カントリーサインの旅」。

市町村ごとに「カントリーサイン」と呼ばれるマークがあって、市町村の境にでているものです。
下関ならフグかホタルです。

212枚のカントリーサインを印刷した大きなかるたみたいなものを束にして大泉洋が持たされ
裏返して、トランプのようにざくざくときり、そして、一枚ひくのです。

ひいたカントリーサインの町に、行く。
行ったら、またカントリーサインをひく。
繰り返し。


この企画、何がおもしろいのかなあ…と思いつつみていたのですが
出てくる地名がめずらしい。

名寄」とか「豊頃」とか。

HTBの別番組「おにぎりあたためますか」で、大泉洋と同じ事務所のオクラホマが、このカントリーサインの旅企画と似た内容で「番組宣伝活動・北海道完全制覇の旅!!」というコーナーを持っていて、ビンゴのガラガラでくじをひき、合併の結果現在179になった市町村をまわっています。

山口朝日放送やBS朝日でも放映しているので、見ています。

最近覚えたのは「中頓別」です。
オクラホマがヒッチハイクしながら移動している様子を放映しているおかげで、北海道に住んでいないくせに、頭の中に、道路のイメージができてきました。

こうやって、地名や道路を覚え出すと、北海道の支部問題(裁判所の支部における司法サービスの問題)が突然イメージしやすくなりました。

たとえば、道弁連(北海道弁護士連合会)が平成22年に開催したシンポジウム「地域住民の”裁判を受ける権利”が侵害されている!~司法過疎はどこまで解消できたか~」の報告集をいただいたので、中を読んでみると、報告集の中には、地家裁支部・家裁出張所・簡裁における常駐裁判官・書記官・事務官数及び開廷日日数を地図上で示した図が掲載されていました。

その中にあの名寄とか中頓別とかあるわけです。

旭川地家裁名寄支部・名寄簡裁
常駐裁判官1人(うち簡裁判事1人)
書記官3人程度・事務官1人程度
開廷日 地家裁支部 1ヶ月3日、簡裁 随時


旭川家裁中頓別出張所・中頓別簡裁
開廷日 家裁出張所 2ヶ月1日、簡裁 1ヶ月2~3日




中頓別は常駐の裁判官の方はいらっしゃいません。
しかも2ヶ月に1度しか開廷されない。離婚訴訟はどうしてるんでしょう。調停は調停委員におまかせきりなんでしょうか(裁判官がいる日しか調停期日が入らないなら調停はどれだけのんびり進行にならざるをえないのか)。

破産事件では名寄や中頓別の住民は旭川本庁まで行かなければならないということで、同時廃止事案でなければ審尋や債権者集会等のための出頭のため、中頓別ならば車で164kmを移動する負担がかかるということです(電車は…、音威子府駅までいって宗谷本線かなあ…)。


ローカル番組を楽しみつつ、他県の支部問題を想像しているのでした。

2012年1月26日木曜日

性同一性障害の父の嫡出子認定訴訟

弁護士の友人が頑張って代理人をしているので、応援で性同一性障害の方の裁判をお知らせします。


NHKニュース
性同一性障害 “嫡出子の認定を”
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120126/t10015538791000.html

産経ニュース2012.1.26 11:48より
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/120126/waf12012611510012-n1.htm
性同一性障害の父、人工授精の子の嫡出子認定求め申し立てへ

こういう事案です。

出生時には女性だったけれども性同一性障害のため、特例法で、戸籍を男性に変更した方が、女性と結婚されました。

そして、女性が、夫の実弟の精子を使い人工授精し子どもを出産。

しかし、夫婦間の嫡出子として出生届を受理してもらえないため、未だに出生届を出せない状態とのこと改めて出生届をだし、それでも嫡出子として受理してもらえなければ、裁判を提起するとのことです。



戸籍と住民票は別なので、住民票はあるかもしれませんが(単なる推測)。

平成22年に法改正が試みられたけれども見送られたとも報道されています。

生物学的な親子関係の問題、嫡出子概念の問題もあります。

2012年1月25日水曜日

家事事件弁護士ヒヤリング

先日書いた「親子の面会交流を実現するための制度等に関する調査研究報告書(法務省:研究代表者棚村政行早稲田大学教授)」を読み進めています。

Ⅳ 家事関係弁護士ヒヤリング
Ⅳ-1 面会交流の現状と特色・課題
Ⅳ-2 共同親権・面会交流について
Ⅳ-3 面会交流の現状・問題点について

http://www.moj.go.jp/content/000076566.pdf

ここで、大阪弁護士会の片山登志子先生のご報告(Ⅳ-1)をご紹介します。

(3) 双方の親の子に対する気持ち、認識

別居中はいまだ離婚自体が不確定な状態であり、両親ともに将来像が見えていない時期であるため、共通の目標で物事を考えるという気持ちになりにくく、対立的な意識状態になりがちであるので、別居中の子どもに対して何が一番重要であるかについての両親の認識に齟齬を生ずることが多い。たとえば監護親(母)は、ようやくにしてもんだ因おある生活から脱出したのだから、母子2人の生活を安定させたい、あるいは、必死になって暴力家庭から脱出して、子どもを落ちつかせようとして、経済的にも必死になっているから、子どもに父親の影を見せたくないという意識が強くなる。しかし、このような意識は、子どもに対して、両親の別居の時期に何をしてあげることが重要であるか、という認識が欠如しているといえる。

(4)双方の親が、子が親にどのような気持ちを持っていると理解しているか

監護親は、子どもが自分と同じ気持ちでいてくれていると誤った確信をしていることが多い。すなわち、たとえば、子ども自身は、母親に暴力を振るった父親であっても、自分にとっては大切な父親であり、その父親からの愛情を望んでいるといわれている。このような子どもの真の気持ちを監護親が理解することは難しい。結局、子どもの気持ちを素直に考えられるか否かということが、面会交流を実現するにあたっての一番の要である。


面会交流の方針を考える上で、参考になります。


とはいえ、代理人が依頼者に対して「さあさあ会わせましょう」と矢継ぎ早に説得すればいいわけでもない。
客観的証拠の有無にかかわらず、DV被害をうけていた方の場合には、代理人弁護士は、

「自分がこのお客様の次の支配者になってはいけない」

ということを第一に考えておく必要があります。

お客様と何度もよく話し合いながら方針を考えていかないと、弁護士との関係も、面会交流実施のための準備も、何もかも台無しになってしまいます。

また、「これまで子どもを会わせないあなたを『悪い親』と責めているわけではなく、今後のお子さんのために今からできることとして面会交流という方法をとりいれませんか」ということや

「『お子さんのため』の話をしているが、あなたの恐怖や不安を『どうでもいい』と思っているわけではない」ということを何度でもお伝えしながら、お客様とお話をしています。

もしもこのブログを、面会交流を悩んでいる方が読んでくださっているのであれば

「お子さんは、幼くてもあなたとは別の人間であって、お子さんがどうしたいか・どう思っているかはお子さんだけのものであって、お子さんがあなたの配偶者(または元配偶者)に会いたいかどうかは、会わせてみないとわからない」

ということをじっくり考えていただければと思います。

誰しも、幼い頃の自分を思いだすと、両親がいろいろバトルをしていても、両親それぞれに対する自分の気持ちは、両親の意見とはまた別だったなという感覚があるはずです。

とはいえ、不安が残ったままでは動けません。

不安の原因をよく確認し、取り除けそうかどうかよく話し、階段を一段ずつのぼるように、「これならできそう」「このまえこれができたのだから、次はこれができる」と自信を深められる方法で進めていくと、不安で凝り固まった心もときほぐせるようです。


かなりトラブルが深まってしまった当事者間における面会交流の事件には、ぜひ弁護士がついてほしいです。
どちらにも代理人がいて、その代理人が面会交流を丁寧に行うことを理解していれば、子どもと別居親が会うきっかけを見つける時間は早まると思います。

正直言うと、法テラスさんには面会交流事件の着手金報酬金を底上げしてほしいです。
いまはまだ面会交流事件に取り組んだ弁護士のボランティア的な仕事に頼っており、離婚とは別の「面会交流事件」を扱う弁護士層が広がりにくい状態なのでありました。

2012年1月17日火曜日

面会交流の勉強(まずは資料整理)

今年は面会交流制度について意識的に勉強しようと思いまして、あれこれ資料をあさっています。

1 子の監護をめぐる法律実務(新日本法規)
2 面接交渉実態調査アンケートとインタビュー 離婚家庭の子どもの気持ち(日本加除出版株式会社)
3 離婚した親と子どもの声を聴く―養育環境の変化と子どもの成長に関する調査研究―(社団法人家庭問題情報センター)
4 親子の面会交流を実現するための制度等に関する調査研究報告書(法務省:研究代表者棚村政行早稲田大学教授)

これで足りるわけじゃあないのですが、資料整理がてら列挙してみました。

このブログにも勉強過程のメモを書いていこうと思います。

2012年1月16日月曜日

引きこもりの大人の方

今日は気になった記事をご紹介します。

(ダイアモンド オンライン)
約半数が40歳以上という10人に1人が引きこもりの「過疎の町」
(ダイアモンド オンライン)
“普通の大人”が引きこもる日本の救世主? 秋田県藤里町のすごい支援策とは
(さきがけon The Web)
扉の向こうへ


都会での仕事を辞めて故郷に戻り、昼間は家の中でひっそりとすごし、
家族以外とは話をしない中高年の方々が数多く存在していても見過ごされています。

その方々にどうコミットしていくか秋田県藤里町の社会福祉協議会の取材記事です。

「お悩みごとはありませんか」という形で聞きに行っても話が出てくるわけではないため、
「就労支援の事業化のための調査にご協力ください」という形で聞きに行き、
本当に支援が必要な人たちを確認していく作業がレポートされています。

2012年1月1日日曜日

今年もよろしくお願いします

本年度は1月10日から営業を開始しました。
どうぞよろしくお願いします。