2008年2月26日火曜日

キーワード広告

ネットで離婚手続の知識についてどう解説しているのか検索することがあります。

そんなとき気になってしまうのが,googleのAdwords広告。

「離婚」「親権」「養育費」などのキーワードを入れて検索すると,広告主のページへのリンクが表示されるように設定されているのでしょう。

離婚して何かとお金のやりくりに困っている人をターゲットにしていると思われる,
それらの広告の中には,

どう見てもマルチ…

の勧誘と思われるものが。

googleのAdwords広告は,安価な割に効果が大きいということで,評判になっています。
このgoogleの広告を自サイト内に組み込むところもあります。

被害者が増えているのではないかと心配です。
googleには御世話になっているのですが(このブログもそう)。

2008年2月18日月曜日

連絡がとれました

今月は,少年院を出るはずの少年と
刑務所を出所するはずの元被告人さんのことが気になっておりました。

なんとか,お二人とも電話で連絡がとれました。
よかった。
どこに戻るかわかっていた方々なので,連絡がつきました。
声をきけてほっとしました。

別の少年(こちらも事件は既に終了)とも電話連絡が復活し,
気がかり状態から少し解放されました。

みなさん,まじめに仕事をしていたり,仕事を探していたり。
がんばってください。
そして,また御連絡ください。

2008年2月15日金曜日

法曹人口問題

日弁連の会長選挙を機に法曹人口問題が各新聞の社説で論じられています。
読んでいて,かなりの違和感を覚えました。
みなさんの弁護士についての前提イメージが「高額収入を得ている」ということに拘泥している印象を受けたからです。

「司法書士などの試験と同じく司法試験も法曹資格を得る試験にすぎず“生活保障試験”なぞではない」(東京新聞,2008.2.13)

実際に食い詰めた弁護士が大量に出れば,事件屋につけこまれる・とりこまれる弁護士も出てくるでしょう。
そういった弁護士が大量に発生しないよう,なんとか就職先を確保してあげなければと司法修習生の就職支援担当弁護士たちは,必死に現場で活動しています。
しかし,かなり無理して採用してもらっているようで,現在修習している方(新61期)の就職先の分は残っていないと言われている地域もあります。

外車を乗り回したい,高いレベルの生活をしたい。
そんな夢が実現できなくなったから法曹人口を減らせと弁護士たちは言っている。
各新聞の記者の方々はそう見ているように思えます。

司法修習生の就職活動の現場をもっと見てもらいたい。
とても取材したとは思えません。

試験合格者数減少を主張する弁護士たちは,生活保護を受給するぐらいなら事件屋と提携する-そういう弁護士を増やすわけにはいかないという三百代言防止・消費者保護の観点からの危機感が根底にあります。
現在,新人を採用している事務所も,過払金返還請求バブルがはじけたら,採用しなくなるかもしれません。今後就職できない修習生が何割かというレベルで発生するかもしれません。

弁護士という資格には様々な職権が与えられています。
事件屋提携弁護士が万が一増えれば,弁護士は職権を正当な目的で行使するという信頼がゆるがされるかもしれません。制度の根幹に関わることです。

地方にいると,弁護士が少ないことはよくわかります。
でも,人手が足りないのは,収益をあげられる業務ではありません。国選の刑事弁護や弁護士会務で人手が足りないのです。
「弁護士不足の危機を感じるこれらの業務は、手間がかかる割に報酬が低いところが共通する。『仕事にあぶれる』は有り体に言えば『もうかる仕事にあぶれる』なのか。」(日経 2008.2.9)

報酬が低いのではなく,低すぎるのです。手間がかかるのはいいのですが,とにかく低すぎる。
国選の刑事弁護の報酬は,諸外国と比べても2分の1以下で,これでは事務局職員の給与等経費を確保することも出来ません。公判前整理手続や裁判員裁判制度で手間は何十倍にもなっています。

「もうかる仕事」と「刑事弁護等公益的業務」の報酬があまりに格差がありすぎるのです。

裁判官がゲストに招かれた大学の講義で,こんな話を聞きました。

「人権活動をしたいなら,とにかく通常業務で通常の利益をあげること。そうでなければ,経済的利益を望めない事件を無理矢理訴訟にしたてて利益を得ようとしたりするなど,感覚が狂い,人権活動の筋を外してしまうことがあるから。」

弁護士になった今も,そのとおりだと思います。
日経は,弁護士業務の経済面について,もっと正確に分析してほしい。
一部の非常に高額利益をあげている事務所ではなく,普通の,中小企業の会社員並の収入の弁護士の経済状況を調べてほしい。法社会学の教科書にも載っていることです。

また,地方経済が横ばいから下向きである現状では,弁護士が地方で急激に増えても,パイは小さいままなので,みんなで貧乏になるだけでしょう。


弁護士過疎地域の人手も,公設事務所ができてもまだ足りませんが,誰でもよいわけではありません。
現在は,意欲のある有能な先生方がきてくださっているので大変助かっていますが
弁護士過疎地域では,どんな事件にも対応する能力があり,狭い地域社会でも対応できるコミュニケーション能力のある先生でなければ,ニーズには応えられません。

司法修習制度も徐々に短期化簡略化され,OJTといっても就職先もないのでは,質の心配をしないほうが非常識です。
地方であれば,いきなり独立しても周囲の事務所がフォローしていますが,大都会の場合フォローしてもらえるのか疑問です。

企業内弁護士,公共機関内弁護士のニーズも低いままで,裁判官や検事の数もあまり増えていません。
ニーズの点からも,司法試験合格者数は減少方向で検討すべきであると思われます。

2008年2月3日日曜日

新人弁護士の経済的負担

3人に1人の司法修習生が就職難だというニュースを読み,これからの新人弁護士はどれだけの金銭的負担を負うのかを考えてみました。

・法科大学院学費 
 国立 入学金約28万円  年間授業料約80万円  →2年で188万円  3年で268万円 
 私立 入学金約30万円? 年間授業料約150万円?→2年で330万円? 3年で480万円
 …貸与制の奨学金を利用したとすると,卒業時には300万円~400万円前後の債務が残る。

・法科大学院通学期間中の生活費
 月14万円として,2年で336万円 3年で504万円
・2010以降は修習期間の生活費は貸与制の修習資金 
 数年間は返還を据え置き,その後10年間の年賦等による均等返還(不確定ですが) 
 修習資金返還債務は200万円程度?

・弁護士登録時費用
 登録免許税     6万円 
 日弁連        3万円 
 各弁護士会     0~50万円

・弁護士会会費 
 日弁連         約2万円   
 各ブロックの連合会 約1万円 
 各弁護士会       3~7万円

・国民健康保険の保険料 
 月額1万円~4万円

・国民年金の掛金 
 月額14100円

・日本弁護士国民年金基金 
 上限は、月額68000円

他にも食費等生活費,税金,損害保険掛金(火災保険・自動車保険),生命保険掛金等がかかります。
修習終了までに500~600万円の債務を負担した上に,年収が下がって,生活できるとは思えません。この場合,「やむを得ない事情」があるということで,返済は猶予又は免除されるのでしょうか。

従来は,勤務先から突然解雇されても,独立して短期間で高額所得が得られたので,労災保険も雇用保険もなくともやってこれましたが,今後は社会福祉を充実させないと,優秀な人材が法曹界から流出すると思います。