2008年1月20日日曜日

裁判員裁判の模擬裁判

1月18日,山口地裁での裁判員裁判の模擬裁判で,弁護人役を担当しました。
書面を見ずに法廷で話す練習をするのに,ちょうどいい機会となりました。
事案は,ひったくり強盗により高齢女性に全治3か月を負わせてしまった共犯事件。
自白事件で,情状弁護がメインです。

模擬裁判を終えた後,もう1人の弁護人役のS先生とどうしたら裁判員にわかりやすく説明できるのか,反省会をしました。

・パワーポイントは,かえって気が散って,内容があたまに入らないと思う(今回は使わなかった)

・箇条書きのレジュメを渡して,それを見てもらいながら冒頭陳述や最終弁論など被告人側のストーリーを聞いてもらう。

・裁判長からは冒頭陳述・最終弁論後に記憶喚起用の文書も渡してはどうかというご意見。

・「初犯」→「刑事事件を起こしたのは初めてで,犯罪傾向が進んだ人とは言えません」
など,いつも使っている言葉をわかりやすい表現・論理に組み替える必要あり。

などなど。

裁判員裁判は「わかりやすさ」を考えざるをえず,
専門的用語がとびかう法廷で被告人にもよくわからないまま刑事手続が終わってしまい,被告人が何を反省したらよいのかさっぱりわからない
…という裁判を少しでも減らすことにはつながるのかもしれません。

先日,日弁連で行われたアメリカから講師を招いての法廷弁護技術研修では,
劇場で話すかのような弁論技術の訓練がなされたと参加者から聞きました。
参加してよかった,弁論術・レトリック術を学ぶ機会があってよかったという話もありました。

私も学ばねばなりません。

ただ,今回の模擬裁判において,裁判官と裁判員が結論を出すために評議をしている様子を見ていたところ(模擬なので特別に見ることができました),裁判員の方々は,

「弁護士の舌先三寸に丸め込まれずに真実を発見し,その上で被告人の処罰を考えたい」

そんな雰囲気で議論しているように見受けられました。

プレゼン技術は必要だと思いますが,やりすぎないよう・ひかれないよう気をつけないといけないのかもしれません。