このところ新聞もテレビも,くだんのストーカーのニュースで持ちきりです。
どうやら,構成要件のことで否認しているようなので,改めてストーカー規制法の条文を見て構成要件を眺めてみました。
恋愛目的云々の点は,「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」(第2条本文)という規定文言に該当するかという議論の中で,メールの内容や量,電話の内容・回数等という客観的事情から推認できる事実とご本人の供述のどちらが信じられるかという話になるのでしょう。
規定の仕方を見ると,恋愛目的に限っているわけではない主観的要件ですが…。
まだ被疑者段階なのでこの点はこのへんで。
それよりも,気になったのは,ストーカー規制法の条文規定のあり方です。
拒まれているのに電話やFAXを送ることは構成要件として規定されていますが(第2条5号),拒まれているのに電子メールを送ることは構成要件として規定がなされていないことです。
従って,電子メールの内容が「行動を監視していると思わせる」「面会を求める」「性的羞恥心を害する事項を告げる」等々,2条の2~4号,7~8号にあたるという事情を咬ませないと「つきまとい等」「ストーカー行為」(「つきまとい等」が反復して行われると「ストーカー行為」になる)と言えないわけです。
ネット社会なのに,いまだにこんな規定なのねと驚いていたら,サイバー問題の第一人者の紀藤正樹弁護士が8年前からこの点を指摘なさっていたことを発見。
→ 「ストーカー規制法が成立したが・・・」(最終更新03/11/21)
ちなみに,犯罪白書を見てみると,ストーカー規制法違反事件の検察庁新規受理件数は,年間にして全国で200件もないようです。
「警告」が功を奏しているのか,認知が進んでいないのか。